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420クラスルール変更【2022/12/1~】

2022年ももうすぐ終わりですね。

当然ですが海外では日本のように3月が年度末ではなく、12月が年度末です。

このことから、この時期になると各クラス協会からルール変更の通知が多く出されます。

来年からルールに則ってセーリングできるように自分が乗る船のクラスルールの確認を行いましょう。


先日420クラス計測委員(アルゼンチン人、ギリシャ人)の方から「今年もルール変更があるから気をつけてね、新しいルールは選手たちに内容が伝わるのに時間が掛かるから困ってるんだ。」と言われました。大会計測で「ここはだめだよ。」となったときに選手も困るし、実は計測委員の方々も困っているのですね。


まずはルール変更の通知の原文

日本語訳

クラスルールの変更
国際420級協会
発効日: 2022 年 12 月 1 日
ステータス: 承認済み

修正1
ーーーーーーーーーー
C.1.1 RRS の変更
追加する修正:
C.1.1.5  RRS 50.1(c) で許可されているように、使用するトラピーズハーネスは、
クイックリリースタイプである必要はない。

修正2
ーーーーーーーーーー
C.7.ハル
追加する修正:
C.7.1 制限事項
C.7.1.1 紛失または修理の域を超えた損傷の場合を除き、イベント中は1つのハルのみを使用するものとする。このような交換は、テクニカル委員会(またはそれがない場合はレース委員会)の承認がある場合にのみ行うことができる。
既存のルール C.7.1 とそのサブルールの番号をC.7.2 に変更
既存のルール C.7.2 とそのサブルールの番号をC.7.3 に変更

修正3
ーーーーーーーーーー
C.10.3 メインセール
追加する修正:
C.10.3.1 識別
(h) フリート内のサブカテゴリに対する追加の識別要件は、レース公示によって要求された場合に規定される。

修正4
ーーーーーーーーーー
Building Specification Drawing No5 issue H
ルール修正前:
補強材
補強材は中空または、独立気泡ポリウレタンフォームを使用すること。(コクピットフロア補強材にも適用)
ルール修正後:
補強材
補強材は中空または、独立気泡プラスチックフォームコアを使用すること。(コクピットフロア補強材にも適用)

解説

・修正1

RRSで許可されているように...と書いてあるのでRRS (Racing Rules of Sailing) 2021-2025 を見てみます。↓(原文)

50 COMPETITOR CLOTHING AND EQUIPMENT
50.1
…
(c) A trapeze harness worn by a competitor which may be used to support the competitor on a trapeze shall be of the quick release variety complying with ISO 10862 which allows the competitor to detach from the hook or other method of attachment at any time.
A class rule may change this rule to permit trapeze harnesses that are not of the quick release variety, but a class rule may not change the requirement that a quick release harness comply with ISO 10862.
Note: Rule 50.1(c) does not take effect until 1 January 2025.

日本語訳

50 競技者の衣類および用具
50.1
…
(c) トラピーズで競技者を補助するために着用するトラピーズハーネスは、ISO 10862に準拠したクイックリリースを備えたものでなければならない。これは競技者がいつでも切り離すことができるフックまたはその他の接続方式である必要がある。
クラス規則により、クイックリリースではないトラピーズハーネスの使用を許可することは認められるが、ISO 10862には準拠している必要がある。
注: 規則 50.1(c) は、2025 年 1 月 1 日まで有効にならない。

要するにRRSで曖昧にしてあるルールをクラスルールで420級はこうですよ、と明確にしているだけです。

ちなみにISO規格とは、「国際的な規模で基準を統一する規格」、「世界基準のものさしをつくる規格」このようなものらしいです。

その中でも今回のISO10862はトラピーズハーネスをトラピーズから切り離すことができずに水中に取り残されてしまう事故(≒溺死)を減らすために作られたようです。

英文ですが https://www.iso.org/obp/ui/#iso:std:iso:10862:ed-1:v1:en ←で詳細を見れます。


修正2

大会で何艇も使うのはだめですよということです。

ワールドセーリングは今後もオリンピックにセーリング競技が採用され続けるために、セーリング競技をより良いスポーツになるよう様々な取り組みをしています。その中で問題になっているのが、船の価格が高額なために、【資金力がない選手が十分な装備を揃えられず負けてしまう=お金があると強い】という状況が生まれかねないということです。

更にプラスチックで巨大な備品を使うので廃棄をする際に環境に負荷がかかってしまいます。大会で複数の船を使用して良いとなると船の数が必要以上に増えてしまい、この問題を大きくしてしまいます。

これらの問題を最小限にして、多くの人がフェアにセーリングを楽しむことがオリンピックへの競技の採用に繋がり、競技人口が維持、発展されるということなんでしょう。


修正3

メインセールに取り付ける追加の識別についてのルールのようです。

私にはあまり詳しくわかりません。


修正4

ビルディングスペシフィケーション(建造仕様書)の内容の変更です。

オレンジ部分が変更されました。

↓オレンジ部拡大

これは船のハッチの中にある肋骨のような補強材の断面図です。

断面図の点々で示されているところが今回の変更点の部分です。

この補強材は表面がFRPで覆われているのですが、これまで補強材の素材は中空もしくはポリウレタンフォームのみ許可されていました。

今回の修正で中空もしくはいかなる独立気泡樹脂フォーム(closed cell plastic foam)でも使用が可能になりました。

↑左: ポリウレタンフォーム 右: 塩ビフォーム

右側の塩ビフォームはPMJが470で使っているものです。もともと470はフォームの素材が自由だったのでビルダー的には素材を共通化できて助かります。

今まで海外の船も含めて多く見てきましたが「これポリウレタンじゃないよね?」と思うときも多くあったのでこれで一安心です。ちなみにこれに関しては計測員が合格を出した船に関しては遡って不合格になることはないので特に問題ではないです。ただ計測員と、ビルダーの勉強不足ですね。


以上が今年のルール変更点のまとめになります。

スナイプ級でもルール変更があったのでまたまとめようと思っています。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


※この記事はルール変更があったことを少しでも多くのセーラーの皆様にお知らせすることを目的に、独自に翻訳、ルール解釈を行っています、英語の翻訳ミスや解釈の間違え等の可能性がありますのでルールはご自分で読み、必要であればメジャラーに確認を必ずしてください。

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