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新型ピアソン470は何が新しいのか②

前回記事 新型ピアソン470は何が新しいのか①↓

前回に引き続き新型ピアソン470のデザインから何が新型なのかを見ていきます。


前回記事ではマストによって掛かるストレスに対するデザインがメインでした。

ここからはセーラーやフォイルからのストレスが主に掛かってくるコックピット内のデザインです。


スウォート


旧型: トランクキャップ(センターボードケース上部)に後から接続する方式。後から長さの調整ができるので製造者的にはイージーという理由で採用されていた。


新型: トランクキャップと一体型、さらに大きくなっていてセンターボードの横方向の動きをを抑える。この部分にはサイドステーの荷重も伝わってくるのでそれを抑える役割も。

キールソン後部


旧型: 白くて分かりづらいがキールソンは最小限のサイズ。


新型: 以前より角ばってサイズも一回り大きくなり頼りがいがあるサイズに変更。フランジも大きくなりベイラーの取付場所も兼ねるようになった。

トランサム


旧型: シンプルに直線的なデザイン、内部の積層で強度を増すようにしていた。


新型: 外側に移動するにつれて幅広になりティラーを切ったときの力が集中するデッキとトランサムの接合角の強度を出すようになっている。さらに裏側もボックス形状になっていて(高さを大きく取っている)これも強度アップに貢献している。470のラダーは通常時はとても軽くステアリングできて負荷が少ないと感じられるかもしれないが、強風コンディションであったり、スタート前のスカリング、ヘルムがあっていないのに無理やりステアリングすると非常に大きな負荷がかかる。
さらにこの部分が壊れてしまうと船のコントロールが取れなくなってしまうことから、ラダーストックなどパーツを含め強固なものを採用している。

ガンネル


旧型: 中くらいのサイズのガンネルのアールがついていた。製造的にも大きめのほうが作る難易度が下がる。


新型: 製造でギリギリ支障が出ない程度まで小さくなった。これにより荷重がかかったときにテコが働きづらくソリッドな感触を受ける。クルーワークで船が歪みづらいのはもちろんだが、学生が遠征に行くときにラッシングをかけるときも、この方がラッシングをしっかりと掛けられる。

サイドデッキ


旧型:これは画像では非常に分かりづらいが、このモデルのほうがフラットな形状になっている。


新型:旧型より山なりになっていて、丸みがある。実物を見てもらうとわかりやすいだろう。以前のようにフラットなときよりもクルー、スキッパーの体重が掛かったときに荷重により強くなっている。これにより選手は細かいパワーを感じることができる。さらにタッキングや動作によって繰り返し凹んだり、戻ったりを繰り返すと負荷がかかる部分に疲労が蓄積されその部分のゲルコートのヒビが入りやすくなるが、それを回避できる。

以上が簡単な外観の違いとその様な形状になった理由でした。

もちろんこれだけが異なるポイントではないですし、これ以外にも中身の見えない部分であったり、使用している素材や、その素材の組み合わせ方など、様々な改良がされています。

他のメーカーの船でも様々なデザインがあってそれがナゼなのか、その船のコンセプトは何なのか、など考えてみると面白いかもしれませんよ。

今後はピアソンSnipeや420についても同じ様な記事を書いてみましょかね。


ここで紹介していること以外で質問があったり、こんな記事を書いてほしい等リクエストがあればウェルカムです。ハーバーで質問してくれる人もいますが、離れた場所でセーリングをしている人も、

などからご連絡ください。

素朴な疑問でも、こんな簡単なことでもいいのかな、と思っていることでもなんでも頑張って答えますよ。


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