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PMJ

吉田/木村組 強風ダウンウィンド動画



今回もそれぞれの解説をしておきます。


強風ダウンウィンド

強風ダウンウィンドで最も大切なことはしっかりと乗員が後ろに乗ることです。

そうすることでまずバウが波に突き刺さってしまうことがなくなります。バウが波に刺さると船は止まろうとします。しかしセールには風のプレッシャーが当たり続けるので前に進もうとします。するとセールだけが前に進むのでバウはより沈み、スターンは持ち上がってしまいます。そのままプレッシャーが入り続けると前向きに沈(バウ沈)してしまいます。このときマストには強力な逆ベンしようとする力がかかるので、運が悪いとマストが曲がってしまったり、最悪折れてしまいます。


また、後ろに乗ることでラダーがより水中に深く入るのでラダーの効きが良くなり、とっさのヒールアンヒールに対して当て舵や波に対してのステアリングがしやすくなります。

更に、船はバウ側よりスターン側のほうが平らな形をしているので、物理的に安定感が増すということも挙げられます。

メインセールは適切にバングを入れることでヒールが安定します。抜きすぎると風が抜けやすくローリングしますし、入りすぎているとウェザーヘルムが掛かり、切り上がってオーバーヒール沈しやすくなります。

スピネーカーは重心を低く、飛ばしすぎないようにトリムすることで安定して走ることができます。スピネーカーを飛ばしすぎるとどんどん上の方に飛んでいって、マストトップが振られてしまいます。ガイが前過ぎても前に書いたのと同じようにスピネーカーが船から離れて安定感がなくなってしまいます。しっかりとガイを適切にバックすることで浅く広く安定してスピネーカーを張れ、オーバーヒールを抑えることにもなります。


動画を見るとクルーの木村選手はメイントラック付近まで後ろに乗って船のコントロールをしています。この乗る位置は船のメーカーによってハルの形状が異ることで浮力の分布が異なることで変わることがあります。PMJの船はすべての風域でバウが浮きやすい傾向にあるので比較的無理のない位置で乗ることができるようですね。もっとバウが細い船や、バウ側に多く重たい艤装をしている船であればメイントラックをまたいでもっと後ろになる必要があるでしょう。



強風ジャイブ1

強風ジャイブ2

強風のジャイブは怖いですねー。安定してジャイブを成功するためにはいくつか抑えるポイントがあります。

まず前提としてセールのトリムがあっていること。先に書いたようにバングの量が適切でないとジャイブ後のウェザーヘルムやスコン!と抜けるリーヘルムで簡単にバランスを崩してしまいます。

あとセンターボードの入れる量。入れれば船はコロコロしづらくなるがウェザーヘルムが強くなってしまいます。その間を取ったいい塩梅を見つけなければなりません。

この2つが出来たら、いざジャイブです。ジャイブの瞬間は波に乗った状態でセールを返すこと。波に乗ると船のスピードが上がるので、後ろから吹いている風が相対的に弱くなります。その時にジャイブをすることで、ブームは簡単に返って、ポールチェンジもらくらくできると言うことです。これをうまくするためにはクルー、スキッパーのコンビネーションが大切です。波に乗って返すときに掛け声をかけてもいいと思います。

ブームが返ったらスキッパーは最大限後ろでハイクアウトをして上り角度を調整しながらヒールアングルを保ちます。ヒールが大きいならベア、アンヒールしそうならラフと言った感じです。そしてスピネーカーを張り続けます。バサバサとシバすると船に入るパワーが一定でなくなりヒールアンヒールが大きくなります。更にクルーは手元が動き回ってポールチェンジが難しくなります。

クルーはできるだけ前重心にならないように手早くポールチェンジを行います。バウの浮き具合を見て、もしバウが水中に突っ込んでしまいそうなら、まずはテイクバックしてバウ沈を防がなくてはなりません。大きくヒールしたときもまずはトラピーズに出て沈を防ぎましょう。

ジャイブが終わったらクルーはすぐにテイクバックしてもとのようにフルスピードで走ることに集中します。

強風のジャイブをうまくするには実践が重要です。最初から20ノットでジャイブはなかなかうまく行きませんが、12、14、16ノット、、、と少しずつ風域を上げて行くことできっとうまくできると思います。この動画ですこしでもうまくジャイブをするヒントがあれば良いと思おいます。


他にもこういうときの選手の動きが見てみたい!というリクエストが有れば選手に直接海で話しかけてもらってもいいですし、コメントなどで書き込んでくれるとありがたいです。


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